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モンラッシェのような歌声

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石田一美さんは、ご自分の歌を、ワインに例えると、「モンラッシェ」です、と答えました。その心は、石を口に含んだような硬質な味わいがあるからだそうです。(ちなみに、モンラッシェは、フランスブルゴーニュ地方産辛口ワインです。土地が、石灰分の多い土壌なので、石田さんのコメントのような味わいになるそうです。)

レッスンの度に、それぞれの歌に対する感じ方を色々な切り口で聞いているのですが、石田さんは、どういう切り口で聞いても、即答が返ってきます。ひとつの歌に対して色々な角度から真摯に突き詰めている。そういう姿勢が、歌の深みを作るのですね。

石田さんは、プロのジャズシンガーです。

よく生徒の皆さんと、エニアグラムパーティーというものをすると、大変盛り上がるのですが、(エニアグラムは、人の性格を9つに分けて、それぞれのタイプの共通性などを合理的に分析する心理学です。)彼女は、タイプ3です。

タイプ3は、3つある感情センサーグループのひとつです。他2つの感情センサーグループとの違いは、目的と、手段の関係がはっきりしている所です。目的のために、自分と感情を分離させることが、出来る、と言われています。

石田さんのレパートリーで、「Give Me The Simple Life」などは、その感じが強く出る曲でした。歌いながら、ライブハウスの入り口で、コートを持って待っているお客さんがいると、「あ。あのお客さんずっと待たされてる。早く従業員が気が付いてあげないかなあ。」とか、色々な所に気を配りながら歌っている。そうすると、タイプ3の感情を切り離す感じが強くなっていました。

一方で、「Will You Still Love M e Tomorrow」などは、自分の内面だけに、フォーカスされた歌い方になります。

エニアグラムの何が面白いかと言うと、自分のタイプの陥りやすい所と、それを埋めるための統合の方向が具体的に書いてあるところです。血液型とかだと、O型のあなたは、こんな人〜それ当たってる〜」で終わりです。でもエニアグラムでは、その先が書いてある。あなたは、こんな人で、こういう傾向があるから、こういう視点で考えるようにしよう。」という具合です。

で、タイプ3は、自分の目的のために、感情を切り離すので、自分がどう感じているのか分からなくなったりします。でも、自分を演出する事は上手いので、きらびやかな印象は人に与えられる。

以前の石田さんの歌は、そういう感じもありました。でも、最近になって、ご自分で感ずるところがあったようで、きらびやかで外向的な歌い方を、すっぱりやめてしまった。
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そうしたら、歌の様相が劇的に変わっていました。きらびやかにアメリカナイズされた書き割りを取り除いたら、”砂の器”が出現した、という感じでした。何かこう、諸行無常的な歌声なのです。ジャズを聞いて、諸行無常と言うのが、結びつきづらいかも知れませんが、聞いて頂ければ、お分かり頂けると思います。只今、CD制作に向けて準備中です。

レッスン当初は、ソウルのレパートリーのために声量も付けたいという目的でいらしたのですが、人に向けて歌う、というよりも、むしろ、どんどん自分の中の何かに向かって、歌うようになりました。
本人は、それを「究極のひとりごと」と言って笑っています。

ところで、以前いらしていたボサノヴァシンガーのChieさんも,レッスン当初は、ジャズを歌われていて、バンドに負けないように声量を付ける目的でいらしていましたが、自分の特性を客観的に見つめた結果、ジャズより、ボサノヴァを歌うという方向にシフトチェンジしたわけです。

Chieさんも、石田さんもジャズという、形式に自分を合わせようという努力を続けて来ましたが、お二人とも、それを辞めて、自分の特性を活かす道を選びました。
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教える仕事をしていて、一番嬉しいのは、生徒さんのブレイクスルーに立ち会えた時です。
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ボイストレーナーが声量付けなくても良いよ、というのもおかしな話しに聞こえるかも知れませんが、私は、フォームに合わせてレッスンするよりも、その人の歌が活きる最良のやり方でレッスンしたいのです。ん?いやもちろん声量を付けるためのレッスンももちろんしますよ。そういう諸々のテクニックが出来た上で、使わない選択もする、ということです。

ということで、ワインに例えると、モンラッシェのような歌、そして、砂の器のような諸行無常感。
早く、CDを作り、聞いてもらいたいものです。

ところで、私の歌も、ワインに例えてもらいたいなあ・・・。


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音楽」カテゴリの記事

コメント

界存さん、blog更新ありがとうございます。

石田さん、以前もblogに登場されてましたよね。とても印象的だったので覚えています。
ライブに是非行ってみたいです。

は〜。特性とフォームの問題。私の場合は間違うと、完全に何もできない人になるので。ほんとに切実な問題です。やっと少し自分に合ったものが見つかってきて、歌が好きと言いたくなってきたので嬉しいです。

でも、本当はずっと知っていたようにも思います。ただそぐわないように自分で勝手に思っていただけのような。自分がほんとにこだわっているところに、少しずつ近づいて行っている、今はそんな感じです。

ところで、私のエニアグラムのタイプは結局どれになるのでしょう?

投稿: otabetabe | 2011年12月 1日 (木) 01時49分

「〜するべき」「〜であるべき」という思考癖がこびりついている、タイプ1のへにょです。こんばんみ。
私も、芝居のために声量をつけたいという目的でこちらに通い始めました。
自分に無いものを手に入れるためにです。
だって役者たるもの、声量は「あるべき」です。
役者として必要なものは完璧に「持っているべき」です。
それがプロならなおさらです。

でも日々のレッスンで、無いものばかりに目がいく癖がちょっとづつ抜けてきて、実はちょこちょこと持っていたことに、気付かせてもらいました。
というか、見つけて頂いたという感じ。

今では、まず自分が元々持っているものに目を向けられるようになりました。
この先どうなっていくのかさっぱり分かりませんが(笑)それが楽しいと思えるようになった自分にちょっとびっくりです。


ちなみに先生の歌声をワインに、という話ですが、
私ワインあんまり飲めないのでワカリマセン。
他の酒で言いますと「発砲日本酒」な感じがしますが。
繊細で深くて、でもパンチが効いてるから(笑)

投稿: へにょ | 2011年12月 5日 (月) 00時37分

poeminなotabetabe君。コメントありがとう。
そうですな。自分の水に合わない所で泳いでいてもつらいだけですから・・・。やっと自分に合った川を見つけたわけですな。
エニアグラムタイプは自分で見つける方が楽しいぜ。

東照宮みたいに緻密できりっとした、へにょ君。コメントありがとう。

おお!先が見えないのに楽しいと思える!とは、タイプ1なのに、レアなコメントです。素晴らしいです。

ところで、繊細で深くて、パンチが効いた歌とは嬉しいです。ただ、「発砲日本酒・・・」射撃する日本酒・・・。おお!

投稿: | 2011年12月 6日 (火) 23時06分

石田さんのNEOな歌声を聞きたいなーと思いつつ

声をさらりとワインで例えるなんて
とてもステキで粋な大人の表現。


そんな粋な事
私は出来ませんが、
出来ないなりに表現してみました。


銘柄:カイソン
『煉瓦で出来たほの暗いワインの貯蔵庫の中でも、うっすら明るい場所にある1960年代頃の物で、燻された感のあるボルドー色は渋味は有るものの口当たりはまろやか、飲むとぶわっと葡萄園の光景が広がる濃厚な味わい深さがある。酸味はさほど強くはないがクセがあり、それがまた個性を醸し出しているワイン』

さらりとステキな事を言える大人になりたいものです。


今回のブログとコメントを読んでたら
自分らしさの大切さと、
何事も時に角度を変えて見る事の必要性を感じ

コメントを書いてたら
自分に合う手頃で美味しいワインを探したくなりました。


とりあえず
明日はワイン飲みます。

投稿: 7ス | 2011年12月 7日 (水) 02時02分

うぉう発砲!(笑)

発泡。

いつも物騒ですみませ...

投稿: へにょ | 2011年12月 7日 (水) 02時39分

こんにちわ。

私は歌もボイストレーニングもよくわからないド素人ですが

しかも ワインもお酒もぜんぜん呑めないヤツですが

でもブログを読んで、なんとなくイメージしました。

いい感じ!きっとわたし 好きな声かも???


CD楽しみですね。

ああ・・・ついでに
エニアグラムというものも知らないド素人です・・・┐(´д`)┌ヤレヤレ

投稿: むってぃー | 2011年12月11日 (日) 09時32分

おお!むってぃーさん。コメントありがとう。

おお!酒も飲めない、歌も素人、エニアグラムも知らない、人にこそ、コメントを頂きたかったので、嬉しいです。むってぃーは、直感力があるから、余計、嬉しいです。書いてくれてありがとう!

投稿: | 2011年12月13日 (火) 18時41分

7thさん!コメントありがとう!
おお!ほの暗い貯蔵庫の中のうっすら明るい場所!
おお!まろやかかつ濃厚!
微妙な路線を歩んでいる私らしいかも。

投稿: | 2011年12月13日 (火) 18時49分

Hi!!とfacebookから誘われて来ました。界存先生こんばんは!

モンラッシェ・・・『ダルタニャン物語(三銃士)』を書いたアレクサンドル・デュマが、「帽子を脱いで、ひざまずいて飲むべし」と褒めたたえたワイン。私はまだ飲んだことがないのですが、「モンラッシェのような歌声」・・・硬質で、でも味わい深く、高貴な感じなのかしら?とても人の心に残る素敵な歌声なのでしょうね。。。♪

ところで私も昔に参加させていただいた合宿でエニアグラムやりましたが、何番のタイプだったかすっかり忘れてしまいました。ただ、そのあとに花の絵を描いて、みんなはバラだとかひまわりだとかを描いていましたが、私は空想?の花の絵を描いたことは覚えています。

投稿: pine | 2011年12月13日 (火) 20時46分

おお。PINEさん。コメントありがとう。合宿懐かしいですね。そうそう、あなたは、空想の花描いてました。淡くてロマンチックな花でしたよ。

私も、最近の、エニアグラムパーティーで、自分を時計に例えた時の絵が、空想の時計でした。

三半規管の中の、渦巻き状の器官のような形状の時計の中に、自分もいる絵でした。メランコリックな軽いめまいを伴いながら、リンパ液のプールに漂っている・・・。

そこはかとなくそんな時間が底に流れている・・・、そんな感じでしたあ。

投稿: | 2011年12月14日 (水) 09時43分

以前界存さんに、歌は芝居より自分の感じでできるとお話しましたが、やはり歌は自分ありきですね!
それと以前おっしゃっていた、ミュージカルに出るために練習するのではなく、一人の歌い手となった上で結果的にそういうのにも出られるようになるというお話ともつながりますね。

元々ある自分の持ち味を活かしつつ、客観的に自分を見てさらにいろいろ工夫して、自分の歌というものを模索して行きたいと思います。
今後ともよろしくお願いします!

投稿: tobacchiboy | 2011年12月27日 (火) 16時35分

おお! トバッチボーイ君!コメントありがとう。

あなたの歌声は素晴らしいですよ。一点を穴のあくほど凝視しながら筋トレをしているような・・・、そんな一生懸命な歌声という感じ。そういう資質は、昨今、稀だし、好感度高いですよ。

先日の「網走番外地」のセリフダイジェストは、面白かったなあ〜!テンポ、メリハリ、構成など、素晴らしかったですね。皆にも見せたいなあ。

投稿: | 2011年12月29日 (木) 22時31分

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